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『野球バカは死なず』(文春新書 江本孟紀著)

こんにちは。

 

先日、高津臣吾ヤクルト二軍監督の著書を紹介しましたが今回は江本孟紀氏の著書『野球バカは死なず』を紹介したいと思います。

 

江本孟紀氏をご存じでしょうか。プロ野球解説者として歯に衣着せぬ発言で人気を博していますが、引退の引きがねになった「ベンチがアホやから野球ができへん」という発言も有名です。

 

江本氏は投手として東映フライヤーズに入団後、野村克也監督率いる南海ホークスに移籍、その後江夏豊氏を含むトレードで阪神タイガースに籍を移し、セリーグでも活躍します。プロ野球通算11年で113勝126敗19セーブの記録を残しています。

 

私は実際に江本氏が投げている時の記憶は無く『プロ野球を10倍楽しく見る方法』(KKベストセラーズ)という本の著者としてであったり、プロ野球解説者やスポーツ平和党から出馬した議員としての活動の方が印象に残っています。

 

しかし、選手としての記憶ではありませんが水島新司氏の漫画『あぶさん』のなかで主人公の景浦安武(あぶさん)の同僚で南海ホークスの主軸投手として描かれていましたのでそちらの方では投げている姿を見ていました。

 

この本ではそんな江本氏の生い立ちから高校野球、大学野球、社会人を経てプロ野球での活躍が記されているほか、野球選手を引退した後の波瀾万丈の半生が描かれています。

 

この本に描かれているなかで印象に残るのは、主に以下の3つです。

1)南海ホークスで野村克也監督のもとでの考える野球

2)一流と超一流の違い

3)練習の大切さ

 

 

1)南海ホークスで野村克也監督のもとでの考える野球

 

言わずと知れた”知将”野村監督ですが、江本氏も野村監督から指導を受けた一人なんですね。本書や高津臣吾氏の著書を読むと「野村監督はどれだけ日本の野球の発展に貢献したのか!」と思います。体でやる野球だけでなく頭を使い、分析をしたなかで最善の選択をしていくことの大切さや面白さを多くの選手に伝えてきたことが伺えます。

 

野球の面白さには一球、一球、状況が異なることがあります。その状況をどう判断したのか、という思考がそもそもないと後から反省することも出来なくなってしまいます。今では当たり前になった部分も多くあると思いますが、その分だけ野村監督が日本のプロ野球発展に大きく貢献してきたことが分かります。

 

2)一流と超一流の違い

 

江本氏はプロ野球野世界でも引退したあとの芸能界でもそれぞれの世界の超一流の人に触れることができたようですが、「一流」と「超一流」の違いを次のように語っています。

「一流」は自分の力で自分を輝かせることが出来る人であり、「超一流」は人を助けて、浮かび上がらせ、なおかつ自分も伸びていくことが出来る人

もちろんその道の技術が秀でていることが前提ではありますが、その上で人に対して何ができるか、を常に考え行動できる人が「超一流」になっていくんですね。非常に大切だな、と思いました。

 

3)練習の大切さ

 

当時の練習は現在のように科学的ではないものが多かったようですが、だからと言って悪いものばかりではなかったようです。特に厳しい練習は体が鍛えられるだけではなく、精神が鍛えられる効果が大きいことを説いています。なんでも科学的であり効率的であることが良いか、と言えばそうとばかりは言えないこともありそうです。限界を超えたところから新たな発見や感覚が分かる、ということも書いてあります。とことん練習することが基本であることはどの時代も変わらないのかもしれません。

また、芸能界で活躍したりプロ野球解説者として活躍する裏でボイストレーニングに通ったり努力はされていたようです。もちろん国会議員として活躍する陰で勉強もされていたものと思います。

野球だけでなく多方面での活躍の裏にも多くの練習や勉強といった努力があったものと思います。

 

最後に、この本では江本氏は2017年に胃がんになったことが書かれています。幸い手術も行い、転移もなく経過は良いようです。プロ野球の世界のなかでもとても稀有な存在の江本氏にはこれからもテレビやラジオ解説、書籍などでまだまだ楽しませてもらいたいです。元気に頑張ってくださることを期待しています。