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『二軍監督の仕事 育てるためなら負けてもいい』(光文社文庫 高津臣吾著)

こんにちは。

 

日本ハムの清宮選手が骨折したとの報道がされています。今シーズンの飛躍がとても楽しみだっただけに残念です。しっかりと治して元気な姿を見せてもらいたいです。

 

清宮選手は昨シーズン、二軍で45試合に出場し、打率は.244だったものの17本塁打を記録しています。日本ハムとしても二軍での出場機会を持たせつつ、一軍も経験させることで育成を図っていたのではと思われます。

 

そのような二軍での育成について元ヤクルトスワローズの守護神で現在スワローズの二軍監督を務めている高津臣吾氏の執筆した『二軍監督の仕事』(光文社新書)を紹介したいと思います。

 

タイトル『二軍監督の仕事 育てるためなら負けてもいい』(光文社文庫、高津臣吾著)

 

まず、この本を読むまでは二軍でどの様な育成を行っているのかあまり具体的に知る機会がありませんでした。本書でも書かれいる「指定強化選手」を定めて育成に取り組んでいるということも「期待の度合いは選手によって違うのだろう」ということは想像出来ましたが、その内容などについては理解していませんでした。

 

また、著者である高津二軍監督ですが、現役時代の印象ではノリの良いスワローズらしい明るいキャラクターの選手でだったという印象ばかりでした。しかし、実際はNPB、MLB、韓国プロ野球、台湾プロ野球、BCリーグと多くの経験を持ち、非常に幅広い視野を持っている方だということを知ることができました。

 

本書は二軍監督の仕事を紹介していますが、そのなかでもどうやって選手を育てていくのか、育てることのできる組織はどのような組織であるか、育てるにあたってどのような手法が必要か、ということが述べられています。

 

そのなかで高津二軍監督がいかに選手に対して愛情を注いでいるかということが分かります。その二軍監督として大切にしているのは、コミュニケーションをとることであると述べられています。このあたりは、一般のビジネスと通ずるところがあります。

 

また、「指定強化選手」などの存在からも球団としてもどの選手に大きな期待をかけているのか、どのような編成意図をもっているのか、ということを知ることができます。二軍での出場機会や起用方法などからも同じく球団の意図をうかがい知ることができます。

 

高津二軍監督が多くのリーグでのキャリアを積むとともに野村克也氏をはじめとする多くのユニークな指導者の下で過ごしたことが、幅広い視野を持つことに繋がっていることが読み取れます。多くの上司の下で過ごすことによって引き出しも増えていくといった事は、ビジネスと一緒かもしれません。

 

二軍といった普段報道されることの少ないところからも野球を楽しむことが出来ることを教えてくれる一冊でした。

 

これから、二軍での出場数などをもとに各チームの指定強化選手などをチェックしていくと面白いかなと思いました。また、二軍の監督やコーチの仕事も非常に面白く意義にのあるものだと思います。どのような人が監督やコーチを務めているのか、ということにも今後注目したいと思います。

 

全体を通して感じるのは若手選手への愛情ですが、高津氏が経験した裏話的なエピソードも書かれています。非常に読みやすくかつ新しい発見もある本でした。興味がある方はぜひ手にとってみてください。